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zoom RSS ガンダム小説 「連邦軍の星」第四話

<<   作成日時 : 2010/03/16 16:52   >>

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       連邦軍の星(第四話)
                       著   Aesop=YASAMA
                       画   ゲオルグ・ララーシュタイン

 戦局は明らかにエゥーゴ優勢に傾いていた。
 俺とカプチーノの新型が戦線を離れていた僅かの間にかなり多くの味方機が殺られてしまったらしい。ハート伍長のレイザックを含めて生き残っているのは10機に満たないようだ。
 ハイザックが一機、GMUの編隊に囲まれているのが見えた。今となっては機動性が高いとはいえないハイザックだ。パイロットは振り切れずに焦っているに違いない。俺はビームマシンガンを連射モードから単射モードに切り替え、GMUの狙撃態勢に入った。まだかなり距離があったし、第一GMU程度の相手にビーム弾を連射していたのではエネルギーの無駄だと判断したのだ。
 「まってろ、いま助けてやる!」
 照準用モニターに映ったものから一機一機確実に仕留めていく。数十秒後にはGMU二個小隊分の残骸が宇宙空間を漂っていた。今更ながらにこの新型機―クリーガー―のビームマシンガンの射撃精度の高さには驚かされる。  俺の存在に気付いてか、今度はネモ・タイプが四機、俺に向かってきた。が、やはり敵ではなかった。あちらのビームライフルのレンジに入る前に全て撃墜できてしまったのだから。
 「なんという高性能・・・」
 俺は初めて手に入れた高級機の性能に感動すら覚えた。中隊長級の仕官様に新型機がまわされるのは当たり前のことだが、俺たち下っ端にとっては千載一遇のチャンスなのだ。
 「さて、あのつわものは・・・?」
 望遠カメラからの映像にハート伍長のレイザックが映っている。だいぶ苦戦しているらしい。レーザーキャノンは一門破壊され、ミサイルガンも撃ち尽くしたのか捨てている。ビームサーベルを構えてはいるが、相手が速くてなかなか接近戦に持ち込めないようだ。どうやらハートが目下交戦中の相手こそ、あのつわものに違いない。
 俺は最大戦速でハートのもとに向かった。
 「ハート、大丈夫か?」
 「はっ、中尉。よくぞご無事で。なんとか持ちこたえてきましたが、そろそろ限界です」
 そう、ハート伍長だからこそあのつわもの相手にこの程度で済んでいるのだ。並みのパイロットならとっくに・・・。
 「あとは任せろ!よく持ちこたえてくれたな」
 クリーガーの強化型センサーが敵を捕らえた。モニターにシルエットが映し出される。
 「おお、これは!?」
 あの、およそモビルスーツらしくないスマートすぎるプロポーションは・・・奴だ。Zガンダムに間違いない。
 ビームマシンガンをいよいよ連射モードに切り替えるときがきた。
 奴がビームを放ってきた。スマートガンか。こちらより射程は長いらしい。
 「ふっ、このクリーガー相手にそんな射撃ではな」
 実際、クリーガーはスラスターの類も従来の機種と比べて飛躍的に強化されており、並外れた機動性を有していた。
 「今度はこっちからいくぞ!!」
 ビームマシンガンが火を吹く。無数のビーム弾がZをめがけて飛んでいく。
当たった。致命傷とはならなかったものの、ビームスマートガンを破壊し敵の攻撃力を封じることは出来たようだ。
 「次で、ジ・エンドだ」
 止めを刺そうと旋回中のZに再び照準を合わせたときだ。後方からネモの小隊が。思わぬZの苦戦に敵の戦力が  俺に集中しだしたらしい。
 「Shit!!」
 俺はひとまずネモを倒すことにした。次々とビーム弾を浴びてネモ小隊はたちまち塵になった。
 「やれやれ、今度こそ!」
 Zも再び俺のほうへ向かってきているところだった。まだ何か武器があるのだろうか。バルカンくらいならもちろん知っているが。
 一抹の不安がよぎる。
 それでも俺は怯むことなくビームマシンガンを奴に向けた。
 弾が出ない!エネルギー切れだ!!
 「畜生!カプチーノが無駄使いするから」
 憾みごとを言ってももう遅かった。ビームサーベルを持とうにも、それはシールドに装備されていて先程カプチーノがダメージを受けた際消し飛んでしまっているのだ。
 「カプチーノめ。よくよく足を引っ張ってくれる!」
画像

 奴が攻撃してくる。バルカンじゃない!!ビームだ!大腿部に固定武装のビーム・カノンがあるらしい。
 だが、俺は慌てたりしない。難なく奴のビームをかわすとZへ向かってダッシュした。
 「中尉、そんなんじゃあ・・・」
 ハート伍長だ。俺を心配してくれているらしい。
 「・・・ゴムノキ曹長の二の舞になってしまいます。後退を」
 ハートは知らないのだ。この新型機―クリーガー―には通常のモビルスーツにはない武装が施されていることを。
 「ゴムノキか・・・あいつも旧型機でなければ死なずに済んだのに」
 Zは俺が丸腰だと思ってか、勢いづいて激しくビーム・カノンを撃ってきた。敵の残りのGMUやネモも俺に向かってきた。
 しかし俺には好都合だ。
 この高級機に装備された武器の中でも最も贅沢な最高装備―インコム―の標的が増えるだけのことだからな。
 「行け!インコム!!」
 クリーガーの後頭部から有線誘導の推進ロケットを内蔵したビームガンが射出され、そこから発せられるビームはまるで吸い込まれるような正確さでネモやGMUを血祭りに上げていく。このままいけばZも。
 「ゴムノキ、どうやら仇がとれそうだぞ。残念ながら『バーザムで』というわけにはいかんがな」
 俺はあの世のゴムノキ曹長につぶやきかけていた。
 Zはインコムめがけビーム・カノンを撃ってきたが当たるものじゃない。少なくとも並の腕では。インコムの機動力はモビルスーツ以上なのだ。
 かなわぬと見てかZは撤退行動に出た。だが俺は容赦しない。インコムから最後のビーム弾が発射される。
 その光は難なくZの機体を捕らえコクピット周辺部を貫通した。
 「やった、やったぞ!ついにZガンダムを倒した。俺だって機体性能さえ良ければ・・・」
 生まれて初めて得た充足感だ。機械の力のおかげでもいい!結果が優れていればそれでいいのだ!!
 無上の喜びに浸りながら、俺はハート伍長に帰還命令を出すことにした。
 「エゥーゴの掃討部隊はすべて片付いた。ハート、味方の残りはどれくらいだ?」
 「はっ、自分と中尉を除いて7機といったところです」
 「そうか、結構手ひどくやられたな・・・では、帰還する」

 俺たちは一路アークツルス基地を目指した。
 「ハート、これでゴムノキへの手向けができたな。何せあの憎きまがいものを撃破したのだから」
 先ほどからの興奮が冷めきらない俺に遠慮するような調子でハート伍長が口を開いた。
 「せっかくの勝利に水を差すようですが、中尉。あれはZガンダムではありません。以前交戦したZガンダムは、もっと派手なカラーリングでしたし、第一、Zガンダムには大腿部にビーム・カノンなんてありはしません。非常に残念ですが、あれはおそらく量産型の―Zplus―とかいうやつでしょう」
 「そう、なのか・・・」
 俺は一気に谷底へ突き落とされた気がした。
 「そんなに気を落とさないでください、中尉。ところで、その機体はどうしたんです?確かカプチーノ大佐が乗っていたんじゃあ・・・」
 「ああ、これか。大佐の遺品だ。俺にくれるとさ。・・・そうだな、マラサイを拾っていかなくちゃな」
 「そうですか、大佐には気の毒なことでしたね」
 「さあな、俺は別に・・・。小作人は落ちぶれた地主に決して同情したりはしないのだよ」
 「何です?それ」
 「昔の東洋のある大国で革命が起きたときの話だ。弱者は立場が逆転しても強者を哀れむことはないってことだ」
 「はっ、そういうものなのでしょうか」
 「そういうものだ!」
 根城を目指し9機のモビルスーツが飛んでいく。ダメージを負って僚機の肩を借りているもの、弾切れで役にも立たないマシンガンを未練がましく提げたもの。

 コクピットハッチを開けたまま、誰とも知れぬ搭乗者を待つ青いモビルスーツが発見されるのにさほど時間はかからなかった。

                                                                続く

 あとがき(のようなもの)

 この4話は、91年10月に模型研究会の会誌に掲載されたもののリメイクです。
 挿絵も91年当事にゲオルグ氏に描いてもらったもの(のしかも製本されたもの)をそのままスキャナーで取り込んだので、このクオリティです(もちろんこれが「クリーガー」です。立体物はまたしても写真を撮る気力が無く・・・またあとで)。
 Zplusに関しては「Model Graphix Special Edittion ガンダム・センチネル」を参照しましたが、特に開発・実践投入時期については明記されていなかったので、ティターンズ崩壊後の「センチネル」の時代を待つまでもなく「Zガンダム」の時代でも存在しているものと解釈して登場させました。
 本文中の「東洋の大国」とは現在の中華人民共和国のことです。むか〜しNHKか何かの特番でそんな件があったので。
 「ダメージを負った機体(MS)が僚機の肩を借りて」という記述ですが、「ガンダム0083」では、何を血迷ったか「宇宙用に換装する前に出撃したGP01を他のGMカスタムとかが肩を貸すこともなく、アルビオンのなかに変なネットを張って、自力で着艦させようとしてさらに壊れる」という描写がありますが(これはリアルタイムでレンタルビデオで視た一回目から疑問に思っていました)、他のガンダム作品ではダメージを受けたMSを他の機体が搬送するというシーンはたびたび描かれていますので(はっきり覚えているところでは「劇場版ZガンダムV」で、『ダメージを負ったかくれハイザックがマラサイに抱えられているシーン。1カットのみ、動画ではありません。ぼやっとしてると視逃します』があります)ので、問題ないと考えます。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 こちらには、初めてお邪魔します。「トムの箱庭」のトムです。
 当方のブログにコメントを頂き、ありがとうございました。(笑)
 自分は、小説を書けるような才能がありませんので 羨ましいです。今後もよろしくお願いします。
トム
2010/03/18 19:45
トムさん、こんにちは!
トムさんの作品は、絶妙なツボを押さえていてとっても好感度が高いです。
こちらへのコメントありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。
Aesop
2010/03/18 20:03

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