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zoom RSS ガンダム小説 「連邦軍の星」第六話

<<   作成日時 : 2010/06/14 22:27   >>

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      連邦軍の星(第六話)
                       著   Aesop=YASAMA
                       画   ゲオルグ・ララーシュタイン

 そのモビルスーツは、全身を血の色にも似た暗い赤で染め上げられており、頭頂高は通常のモビルスーツより一回り小さめだったがその分前後左右幅で内部容積を稼ぐようなプロポーションをしていて、右側ではあったが肩部にスパイクアーマーを装備しておりザク系の流れであることを匂わせていた。

 後に、そのパイロットから聞いたのだが、モビルスーツの名は「ライザム」といい“RMS-109”のナンバーをもつ、マラサイの純粋な後継機として開発されたが初期生産分9機で生産が中止された(その理由については知らされていないそうだ)幻の機体だそうである。

 思わぬ助っ人のおかげで危機を脱した俺たちは、ライザムのパイロットの勧めるままに彼の所属する巡洋艦アカントフォリスに編入された。
 「ようこそ我がアカントフォリスへ。私はカトレー=モローゾフ。階級は曹長です」
 モビルスーツデッキに降りてパイロットスーツのヘルメットも脱がないうちに、ライザムのパイロットが握手を求めてきた。
 「自分は第44独立機動戦隊のイソップ=ヤサマ中尉。もっとも、今となっては所属部隊などどうでもいいことだが。何にしても助かった。感謝する」
 「こちらこそ、あなた方のような優秀なパイロットに来ていただいて光栄です。なにせパイロット不足なもので・・・」
 確かに整備ドック内には、ライザム・タイプのモビルスーツが数機見受けられるものの、俺たちのほかにはパイロットらしい人影は見当たらない。
 「・・・我々は敗残部隊なのです。私ももともとはこの艦の所属ではなかったのですが、先の戦闘で母艦を沈められ、艦隊唯一の生き残りのこの艦に収容されたという次第で。先程、中尉たちの基地に寄ったのも、本隊へ合流するまでの必要物資を補給できないかと思ったわけで、そうしたら二人もパイロットを見つけられたと・・・」
 「それじゃあ、この艦が向かっているのは!?」
 「はい、ティターンズの全戦力が集中しているグリプス2です。あそこで最後の決戦が行われるはずです」
 グリプス2か。あいつ―Zガンダム―に今度こそ遭えるかもしれんな。
 俺は胸が踊った。
 
 ところで、問題はモビルスーツだ。俺のマラサイは武器さえ代わりがあれば、脚部スタビライザーは調整しなおす程度で済みそうだが、ハートのレイザックは・・・
 「ハート、貴様のモビルスーツはどうだ、使い物になりそうか?」
 我々よりだいぶ遅れてやっと着艦を果たしたハートに訊いてみた。
 「無理です!中尉。頭部メインカメラを完全に破壊され、基地からこの艦まで飛び移るのさえこんなに手間のかかる有様ですから」
 見るとレイザックは、頭部は完全に消し飛び胸部も上半分はビーム熱による損壊が激しく、むしろコクピットのハート伍長が無事だったことに感謝の祈りをささげなければならないといった状態だった。
 「どうだろう、曹長。この艦でレイザックの修理は可能だろうか?」
 「中尉、そりゃ無理です。たかだか巡洋艦ごときで。・・・ですが、余っているモビルスーツなら沢山在りますよ」
 「・・・だそうだ、ハート」
 「え、ええ、是非!よろしくお願いします!!」
 久々に新型に乗れると聞いて、ハートの声が上ずっているのを俺は聴き逃さなかった。
 「どうです?中尉さんも良かったら・・・」
 「いや、俺はいい。その代わり、ビームライフルだけはまともな奴をくれ」
 カトレー曹長は俺にもライザムに搭乗するよう勧めたが、おれは断った。
 あくまで動物的な感―直感―というレベルでなのだが、おれはこの“ライザム”という機体を素直に受け入れる気にはなれなかったのだ。

 数時間後、我々の乗り込んだ宇宙巡洋艦アカントフォリスはアークツルス基地を遠く離れ、マラサイはマシンガンに関連した装備をすべて取り外し、代わりにライザム用のビームライフルを装備していた。といってもライザムのビームライフルというのは、もともとマラサイ用のビームライフルを精度・速射性を若干レベルアップさせただけのものだったので、装備質量比等の問題が生じることはなかった。スタビライザーの再調整も済みマラサイは通常どおり稼働が可能になった。
 さて、お次はハート伍長のライザム慣熟飛行だ。
 カタパルトデッキから、カトレー、ハート、俺の順で飛び出していく。ライザムの加速は見事だ!スラスターの炎が一瞬瞬いたかと思うと、たちまち全周スクリーン上のライザムは点のように小さくなってしまう。マラサイも最大加速で引っ張っているのに、だ。おそらくあの性能はバーザム以上だろう。俺は、“RMS”ナンバーの付いた量産機でこれ程の高性能機は見たことがなかった。
 「曹長、ライザムってのは、大したモビルスーツだな」
 「まったく、こんな高性能機が量産9機でお終いとは残念なことです」
 乗機に対する絶対の自信を込めて、カトレー曹長がこたえた。
 「ハート、どうだ調子は?機体に振り回されてなどいないだろうな」
 「はっ、中尉。夢のようです!旋回半径、最高速度、どれをとっても今までとは比べ物になりません!!」
 「そうか、機動性を試すのはそのくらいにして、今度は攻撃力を試してみたらどうだ」
 俺は、遥か前方の宇宙空間に漂っている金属片群を指しながら言った・
 ハート伍長のライザムがきりもみ飛行を始め、わざと射撃の難しい姿勢からビームを放つ。上下左右様々な角度から放たれたビームは全て紛うことなく一点に収束して目標を射貫く。
 「見事だ!ハート!!」
 ハート伍長の腕もさることながら、ライザムのビームライフルの高性能もしかと窺がわれた。
 標的の損壊度を確認しようと、望遠モニターで拡大してみる。
 俺は、自分の目を疑った。
 そこに映し出された金属片は、俺たちを囮にして逃げたはずのアークツルス基地所属の宇宙艦の残骸だったのである。
 アークツルスを脱出した後で敵の別部隊に殲滅されてしまったのだろうか。敵はそんなに大量の戦力を保有しているのか。
 俺がやるせなさを感じたそのときだ。金属片の合間から無数のビーム弾が発射された。
 敵の射撃の腕は、かなり未熟なものらしく俺たちは難なくかわした。
 敵の姿はまだ見えなかったが、一度に一箇所からしか撃ってこなかったので、敵は単数であると予想できた。
 だが、あのビームは・・・そう、かつて見たことのあるビームマシンガンのものである気がしてならなかった・・・。
 目標に近づいた。有効射程距離だ。ハート伍長がライザムの右肩部に装備されたミサイルポッドを全開にする。
 大量のミサイル攻撃を受け、金属片が弾け飛び、敵が姿を現した。
 「おおっ!!」
 両肩のスパイクアーマーに、ビームマシンガン、全身を青く彩られたその機体は、かつての俺の愛機・・・信じたくはないがクリーガーそのものだった。
 なぜ、こんなところに!?
 だが、大方予想はついた。艦隊が襲撃された際に接収されて、敵の新し物好きが試し乗りでもしていたのだろう。
 敵もこそこそ隠れるのをやめ、覚悟を決めたようだ。バーニアを目いっぱい吹かして突っ込んでくる。ビームマシンガンを連射しながらだ。
 「ハート、カトレー、散開するぞ!」
 俺たちはひとまず三方に散った。
 「俺がやつを引き付ける。貴様たちは援護をたのむ」
 三機の中で一番性能が悪いのは俺の機体だ。敵も真っ先に俺を狙ってくるだろうと思ったのである。
 案の定クリーガーは、俺のマラサイに食い付いてきた。
 こちらもビームライフルで応戦する。クリーガーのパイロットの腕はたいしたことはないらしく、いかに高性能ビームマシンガンといえどライフルでの牽制で簡単に回避できる。この程度の相手がクリーガーに乗っているとはな。
 俺は、カプチーノ大佐のときにも似た憤りを感じていた。
 敵は業を煮やしてかインコムを出してきた。
 「ハート、殺れ!」
 ハート伍長のライザムのビームライフルは、余りある正確さでクリーガーのインコムを叩き墜とす。
 カトレー曹長は、これまた余裕を見せ付けてかクリーガーのビームマシンガンを狙い撃った。
 絶対的な機体性能ではクリーガーのほうがやはりライザムをも上回っているはずなのだが、パイロットの腕の差と機数格差でこちらのほうが有利に戦闘を展開していける。
 だが、そんな光景を目にしながら俺の脳裏には複雑な感情が渦巻いていた。
 欲しくて堪らなかった新型、一度は乗ったこともあるかつての愛機、憧れの高級機―そのクリーガーが今では、新鋭機とはいえ量産型のライザムに滅多打ちに遭っている。・・・いや、ライザムの性能を素直に称えるべきなのかもしれない。
 「中尉、とどめを!」
 ハートが叫んだ。
 大方、ほぼ敵の攻撃力を封じたところで仕上げを俺に任せてくれるというのか、部下の鑑だな。
 しかし、俺はすぐにはとどめを刺せない。おもむろにライフルの照準をクリーガーに合わせる。が、トリガーは引けない。
 クリーガーがビームサーベルを構えた。
 スクリーンの中のクリーガーがどんどん大きくなってくる。
 「中尉、早く!!」
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 ハート伍長が急かす。
 このまま俺がとどめを刺さずとも、ハートかカトレーのどちらかが寸分違わず仕留めてしまうだろう。ならばいっそ俺の手で・・・。
 「成仏しろよ」
 マラサイのライフルから射出されたビームは、傷つき機動性が落ちた超高性能の新型機を難なく貫いた・・・と思われる。なぜなら俺は、トリガーを引く瞬間に目をつぶってしまっていたので、クリーガーが爆散する瞬間を見ていなかったのだ。
 まぶたの裏からの爆光の眩しさに耐え、一呼吸置いた後に目を開けると、そこにはかつての青い鋼鉄の魔人の姿はかけらほども無く、本来の静かな宇宙空間が広がっているだけだった。
 それにしてもライザムはたいしたものだ。パイロットの差があるとはいえ、あのクリーガーをたったの二機で徹底的に粉砕してしまったのだから。
 そう思いつつも漠然としたライザムへの不安感を拭い去れない俺だった。

    続く

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RX-156 クリーガー
「RX」は連邦軍の試作機に与えられるナンバー。型番が「15〜」で始まっているということは、開発はバーザムと同じくニューギニアで行われていたと推察される。
頭頂高:19.6m
本体重量:33.4t
全備重量:55.9t
ジェネレータ出力:2.230kw
スラスター総推力:123.400kg
センサー有効半径:14,800m
装甲材質:ガンダリウム合金
武装:長射程ビームマシンガン、ビームサーベル、インコム 他

模型に関しては後記事で。

 対Zガンダム用として連邦軍でひそかに開発された試作機。武装は、ビームマシンガンにインコムと、ある意味Zガンダムを上回る部分もあるが搭乗者に恵まれずZガンダムとの対決を待たずして破壊されてしまう。
 「クリーガー」という名はイソップ中尉が勝手につけたものだがドイツ語のKrieger(”戦士”の意)である。
 逆襲のシャアにおける「νガンダムに対するサザビーみたいなもの」という意味合いで設定しました。二本角は、 対Z「ガンダム」用ということでデザインに盛り込んでいます(結果サザビーっぽくもなりましたが)。

 以下のデザイン画は、「私が最初に三面図を描いて模型を完成させたものをゲオルグ氏に描いてもらう」という特殊な経緯を経て作画されたものです。
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RMS-108S
スタークマラサイ(マシンガン装備省略時)
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頭頂高:17.5m
本体重量:31.9t
全備重量:53.4t
ジェネレータ出力:1,790kw
スラスター総推力:77,800kg
センサー有効半径:13,500m
装甲材質:ガンダリウム合金
武装:ビームライフル、バルカン砲×2、240mmマシンガン、ハンドグレネード 他
 量産機マラサイを、頭部センサー・脚部スタビライザー等を強化した機体。ランドセルには240mmマシンガンの弾倉を装着できる。また、腰部サイドアーマーのポケットにはハンドグレネードが装備されている。
 この設定画で持っているのはライザム用の改良強化型ビームライフル。マシンガン装備は前話参照。

RMS-099M
リック・ディアス装甲強化型
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頭頂高:18.7m
本体重量:32.2t
全備重量:58.6t
ジェネレータ出力:1.833kw
スラスター総推力:77.500kg
センサー有効半径:11,500m
装甲材質:ガンダリウム合金
武装:バルカンファランクス、クレイバズーカ、ビームピストル、ビームサーベル 他
 エゥーゴの高性能機リック・ディアスをもとに装甲をさらに強化した機体。左前腕にはスモークディスチャージャーが装備され、第5話ではイソップ中尉たちを苦しめた。



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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
 >お邪魔します。
 久々の再開ですね。(笑)
 いつもながら、よくストーリーを「考え出せるな」と、感心させられます。
 今後も楽しみながら頑張って下さいね。
トム
2010/06/15 09:25
更新待っていました。
さすがの話の作りですね!
かつての愛機を自分の手で葬る、
イソップ中尉は苦渋の決断をしましたね。
しかも高性能機ならなおさらです。

MS設定も絵があってとてもわかりやすいです。
次の更新も楽しみにしています!!
ミスターZ
2010/06/15 17:15
>トムさん
ストーリーは「思いついた」ときに頭の中で練っていき、時には数ヵ月後とかに文章にしたりしています。
「連邦軍の星」だけは、今から20年近く前、学生時代に所属していた模型研究会の会誌(年2回発行)に”連載”だったので、3話以降は締め切りに合わせて「考え出して」いましたが、そのほかのものは全て「思いついたら」書くってかんじで・・・。なので最新作の「高機動型ハイザック物語」からは4年間何も新作を書いていません(その前のブランクも8年空きましたし)。
コメントありがとうございました!これからも楽しんで書いていけたらと思っています。

>ミスターZさん
コメントありがとうございます!
「イソップ中尉の苦渋の決断」御理解いただけて大変嬉しいです!!やはりこの「第6話」のなかで一番描きたかったことでありますので。
 絵に関しては、1、2話を書いていたころからの夢で、自分はMSの3面図しか描けないのですが、3話を執筆し始めた大学2年のころから、ゲオルグ氏が模型研究会に入ってきてくれまして、そのおかげで挿絵などを描いてもらうことが出来ました。
Aesop
2010/06/16 08:41

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