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zoom RSS ガンダム小説 「連邦軍の星」第五話

<<   作成日時 : 2010/04/28 22:35   >>

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       連邦軍の星(第五話)
                       著   Aesop=YASAMA
                       画   ゲオルグ・ララーシュタイン

 静かだ。つい数十分前まではモビルスーツの修理やら出港する軍艦で喧騒に包まれていたこのアークツルス基地も、いまでは整備兵ひとり見えないゴーストタウンと化していた。
 「中尉、何です?その装備は。えらく古めかしく見えますが」  
 僚機のパイロットというか今となっては唯一の味方―ハート伍長が訊いた。俺のモビルスーツが装備している火器を指して言っているのだ。
 「ああ、これか。240mmマシンガン。確かに珍しがるのもわかる。旧来の実体弾式携行火器だからな。だがハート、実体弾式とはいえ昔のザクなどが使っていたのとは規模が違う。この狭い空間での戦闘においては、弾をバラまける分だけ下手なビームライフルより余程使えるかも知れんぞ」
 「はっ、中尉。ですが、あの新型は惜しかったですね」
 「まあな、いい時ってのはそんなに続かないものさ」
 現在の俺の乗機はマラサイである。そう、前回の戦闘でクリーガーに乗り換える際に一度捨てて回収してきたものだ。装備をビームライフルから、なにやらわけのわからない試作の実体弾式マシンガンに換えられ、俺にあてがわれた。ショルダーアーマーやらランドセルが通常型と変更されているので、一部の整備兵からは「スタークマラサイ」などと渾名されていたらしいが、どこが「スターク(強い、完全なの意)」なのか。
 カプチーノ大佐にもらったクリーガーは非常に残念なことに(当たり前ではあるのだが)俺の乗機とは認められず取り上げられてしまい、それどころか軍規違反ということで、この基地の放棄が決まって撤収という御時勢に「本隊が安全圏に脱出するまでの時間稼ぎ」として俺たちは置き去りにされてしまったのだ。
 それにしても気の毒なのはハート伍長だ。俺の巻き添えを食らって・・・
 「すまんな、ハート。こんなことになってしまって」
 「何を言ってるんですか、中尉。自分は好きで兵隊をやってるんです。それにまだ死ぬと決まったわけじゃありませんし・・・」
 そうか、ハート伍長は好きで戦っているのか。俺は・・・俺は少なくとも戦いが好きではないはずなんだが。
 そんな思索にふけりかけたとき、ディスプレイの隅に“ALERT”の表示が。
 敵機の来襲だ。自動砲台による迎撃で果たして何機が墜ちてくれるか。間抜け野郎が一機でも多いことを願わずにはいられなかった。
 「自動砲台による撃墜数2。残り16機が侵入してきます。中尉、いっそ外に出て空戦を」
 「いや、それは駄目だ。多勢に無勢。宇宙空間では多方向からの攻撃を同時に受けることになるからな。この基地内でなら、入ってきた奴を順に仕留めればいい。・・・理屈の上ではだがな」
 俺たちはモビルスーツドック内のコンテナの陰に身を隠した。その他の機材も出来るだけぶちまけておく。どうせもう利用価値の無い基地なのだ。壊そうとどうしようと俺たちの勝手だ。遮蔽物が多いほうが機数格差を解消しやすいし、パイロットの腕次第で一騎当千も夢ではない。
 こちらの準備は万端だ。ハート伍長のレイザックも修理が間に合わずレーザーキャノンは一門切りなものの、右手にはビームライフルを備えエネルギーチャージも整っている。
 レイザックのモノアイがギンッと光り、その鈍いピンク色の光がマラサイの青を一層際立たせた。弥が上にも緊張が高まる。
 「中尉、ひとつお訊きしてよろしいでしょうか?」
 「なんだ」
 「自分が見てきた限り、中尉は青いモビルスーツばかり乗っておられます。バーザムやクリーガーは偶然としても、マラサイなどはわざわざ『敵を威圧する』という心理的な意味を込めて正式塗色が『赤』になっているのに、何故です!?」
 「さあな・・・『青』は地獄の色だからな」
 「地獄の!?」
 ハートは狼狽しているようだ。無理もない。自分でも何故あんな答えが口をついたのか分からないのだから。
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 敵モビルスーツが取り付き始めたようだ。
 ドックの入り口付近にカメラアイの妖光が見える。反撃がないのを訝ってか、侵入は至って慎重だ。バーニアを使わず二本の脚で歩いてくる。1機、2機、3機・・・。もっと引き付けてから一網打尽にせねば。
 10機目のカメラアイが見えた。これ以上待てば先頭の機体に発見されてしまう。
 「ハート、今だ!撃てぇ!!」
 コンテナの陰から頭部とマシンガンだけを露出させるようにして射撃する。まるで歩兵の銃撃戦だ。ただ、そのスケールは10倍以上に拡大されてはいるが。
 ハートもビームライフルとレーザーキャノンを有効に駆使したようだ。
 瞬く間に8機の敵モビルスーツが地に伏した。俺が4機、ハートが4機といったところか。実体弾式のマシンガンとはいえ、こういった狭い空間での先頭にはGM系の量産モビルスーツに対しては十分使えることが照明されたわけだ。
 危うく砲火を逃れた2機のうち、1機は脱出しようと反転したところをハートのビームライフルが射抜き、残りの1機は浮遊していた鉄骨の陰からビームを放ってきた。
 コンテナの厚みは一発二発のビームの直撃で貫通するほどヤワなものではなかったが、同じ遮蔽物にいつまでも執着するのはやはり危険だ。
 俺は思い切って飛び出した。スラスターユニットをフルに活用して高速移動しつつ、マシンガンをフルオート連射する。GMに当てようなどとは思わない、鉄骨に当てればいいのだ。見る間に鉄骨が金属片となって弾け飛び、その後ろにいたGMUも・・・。
 あと6機。もう俺たちの存在に気付いただろう。今度は不意打ちは通用しない。
 俺は再びマラサイをコンテナの陰に潜ませた。
 来た。6機がそれぞれドックの内壁にギリギリまで機体を寄せて。バーニア・スラスターの炎が眩しい。
 「ハート、撃ちまくれ!」
 マシンガンが咆哮をあげる。ビームライフルが閃光を放つ。
 2機撃墜。あと、4機。いいぞ、この調子だ!
 と、残り4機のうちGMとは違った武骨なプロポーションの3機が左下腕部から何かを放ってきた。
 「グレネードか!?」
 それは俺の前方数十メートルのところで炸裂すると、瞬時にして広大な煙幕を作り上げた。
 「くそっ、スモークディスチャージャーを装備してやがった!!」
 俺は、即座にコンテナの陰から離れた。こちらから見えないのなら向こうからも見えまい。
 狙い撃ちを受ける心配はまず無い。案の定、先ほどまで俺が位置していたコンテナの陰に数条のビーム弾が撃ち込まれるのが伺えた。
 敵の奴らは俺たちより奥に回りこんでしまったようだ。
 俺は、腰部サイドアーマーポケットからハンドグレードを、5、6発取り出すと、とにかくハート伍長がいない方向目掛けて投げた。
 次々と爆音が鳴り響く。そのうちひとつは・・・どうやらモビルスーツの熱核反応炉のものが混じっていたらしい。
 あと3機。
 「ハート、無事か?」
 「はっ、中尉。お蔭様で。しかし、この煙には参りましたね。こう視界が悪くちゃ・・・それにあの武骨な奴。GMとは違って手強そうですよ。うわっ!!」
 「ど、どうしたハート!?何があった?」
 「申し訳ありません、中尉。頭部に直撃を食らってメインカメラを破壊されました」
 「そうか、貴様は無事なんだな。そのまま動くな。まさか敵の奴らも動かなくなったモビルスーツにまで攻撃はしないだろうからな」
 唯一の味方であるハート伍長も頼れなくなってしまった。
 俺は、マラサイの強化型センサーにすべてを託した。
 煙幕が薄れて全周スクリーンの映像でも朧気ながら、外況が分かるようになってきた。
 緑色に光る単眼(モノアイ)が不気味にこちらを睨んでいる。奴だ、あのスモークディスチャージャーを飛ばした赤くて武骨な・・・データによると“リック・ディアス”とかいう類のモビルスーツらしい。
 俺は、緑の単眼目掛けマシンガンを連射すると、マラサイの機体を横にスライドさせた。取り敢えず1機・・・いや、違う!!ビームを放ってきた!確かに当てたはずなのに・・・。
 そうか、奴は装甲が厚いんだ。240mmとはいえ、実体弾では致命傷を与えられないのか。今の射撃で俺の位置はすべての敵の知るところとなり、三方からビームを撃たれた。バーニアを吹かし上昇して難を逃れた俺は、無駄と知りつつもマシンガンを乱射し狙撃されるのを防いだ。
 だが、着地のときに脚部スタビライザーを傷めてしまった。遮蔽物にと、ごちゃごちゃぶちまけておいたのがかえって災いしたらしい。機動性が落ちたところにあの重装甲の化け物が突っ込んでくる。
 体当たりを受けたマラサイは豪快に横倒しになった。このままでは奴らを倒すことは出来ない。ビーム兵器を・・・。
 「ハート、貴様のビームライフルを投げてくれ!!」
 スラスターのみの力でマラサイを移動させ、強引ともいえる姿勢でマシンガンをディアスに向ける。とにかくハートのビームライフルを受け取るまで牽制しなくては。
 「ハート、今だ。ライフルを!」
 レイザックの手を離れたビームライフルは、極めて緩い弧を描いて俺の手元に届くはずだった。
 だが、俺の目に映った光景は、ビーム光の一撃を浴びて四散する哀れな飛び道具だった。なんということだ!
 数で優り、装備で優る敵の奴らの嘲笑が聴こえてくるようだった。
 有効な攻撃手段も無く、逃げることも許されず、やはり戦うしかないのか。
 「それが軍隊ってもんだものな」
 俺はマシンガンを連射しつつ、ディアスに向かっていった。至近距離に持ち込めばあるいは・・・。
 だが、先ほどスタビライザーを傷めたのが災いしてか、マラサイの機動性は思った以上に悪く、ディアスに肉薄するどころではなかった。3機のディアスの前では、なす術も無く簡単に回り込まれてしまうのだ。1機のディアスが側面からビームサーベルで切りつけてきた。なんとかぎりぎり躱したものの給弾ベルトを損傷してしまった。もう、マシンガンすら撃てない。ディアスのクレイ・バズーカの砲口が正面からピタリとマラサイを捕らえた。
 背筋に冷たいものが走る。
 だが、次の瞬間、ディアスの脇腹を左から右へビーム光が貫き、ふと見ると残りの2機も頭部を吹き飛ばされて横たわっている。いったい何が起こったのだ!?
 全周スクリーンの片隅には・・・見たこともないモビルスーツが映し出されていた。

                                                            続く


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スタークマラサイ設定画
詳しいスペック等は次話にて。ちなみにマシンガンのデザインはドイツ軍の「MG42」を参考にしたつもりです。サイドスカートがポケットになっていてハンドグレネードが収納されているというのはオリジナル設定です。
ランドセルがハイザックっぽいのは、88年発行のHJ別冊「機動戦士ガンダム・新世代へ捧ぐ」の近藤和久版(?)「マラサイG型」を参考にしました。
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模型に関しての詳細は前記事にて

あとがき(のようなもの)
 この第五話は92年4月の模型研究会の会誌に掲載したものを一部表記等リメイクしたものです。
 「弾がバラ撒ける分だけ有利」というのは、ゼク・アインの第3種兵装における「要塞戦での有利性」の設定を受けてのものです。このゼクの給弾ベルトのかっこよさに魅せられて今回のマラサイのデザインは行われました。MG42は89年ころレオパルドUのプラモを作りまして、そのとき「かっこいいな」と思っていたもので。
 「スターク」マラサイという呼称は、機甲戦記ドラグナーのグンジェム隊の各メタルアーマーが「スターク〜」という名称で登場したときに英和辞典で「STARK」の意味を調べて、そういう意味ならば使ってみようと思っていたものです。
 「自動砲台」は「機動戦士ガンダム0083」での活躍を受けてのものです。92年当時にはまだ、認識がなかったので会誌に掲載された時点では「自動防空システム」というオリジナルの設定で記述していました。
 挿絵ではレイザックのキャノンは二門とも健在に描かれていますが、「外装は無事でも実際は一門機能しない」ということで・・・。
 「青は地獄の色」とは、小生、学生時代に演劇部に所属していたこともあり、北村想の「悪魔のいるクリスマス」という戯曲に触発されて使用したものです。
 「大口径のマシンガンでも装甲の強いMSには致命傷を与えられない」というのもガンダムセンチネルの序盤の「第3種兵装ゼク・アイン対Sガンダム」の件を受けてのものです。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
初コメです。
小説1話から読ませていただきました。
ブログで同じ小説を書くものとして
よい編集の仕方をされていていると思いました。
話の内容や流れもグーd(^^)です。

マラサイってかなりの名機なんですよね、
当時の量産機としてはガンダリウムを使い、
性能はディアスや百式とほぼ互角であったり
大気圏で短時間飛行可能でもあったりします。
スタークマラサイも青色とあいまって
独特の雰囲気が出ていると思いますよ。
次話製作がんばってください。
ミスターZ
2010/04/29 21:38
コメントありがとうございます!!

そうですよね、マラサイは名機です。ジェネレーター出力は後発のバーザムより上ですし、ティターンズ側の量産MSとしては初(?)のガンダリウム合金全使用ですし(かくれハイザックは、「一部ガンダリウム合金」なんてなってます)。

一話からお読みいただいたとは有難い限りです。スタークマラサイもほめていただきありがとうございます!!
Aesop
2010/04/30 21:38

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